2019年05月29日

5月寄り合い報告

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例会参加者には、図版を添えてPDFファイルで送付しました。次回の寄り合いで再鑑賞していただきます。

「和様刀剣説明文」

《説明》
康光は備前の刀工で、南北朝中期一三五六年より室町前期一四六八年に渡る、刀剣時代区分第二期「打ち刀推移期」に作刀した。この第二期は、確認できた最古の刀銘から最新の太刀銘に添えている年紀で設定したものである。(参照:刀剣時代分類表)
言うまでもなく大小二本差しは江戸幕府が正装として規定したもので、江戸時代以前は長さに関わらず各刀剣が独立しており、脇差の名称も存在しないと解釈している。
従って本刀は、推移期中に刀銘で刃を上に差す「打ち刀」である。現在考察している点は二尺以下打ち刀の呼称である。「小さ刀」は一尺前後の「腰刀」という予備刀と拵を含めた名称が通説だが、短い刀剣すべてを「小さ刀」に含めてみたい。一本持ちの時代に、両手握りで剣術を身につけた武士が持つ刀剣を「刀」と呼び、素人の招集侍が使う片手持ちを「小さ刀」と呼ぶのが初心者の腑に落ちる呼称と考えている。
いずれにしても本刀は片手持ちの打ち刀だが、彫りを見れば雑兵の実用刀ではない。平安時代に定着している八幡信仰を差表に、裏には神仏習合の仏を表す梵字を彫っている。研ぎ減りにより確定できないが、調べると大日如来もしくは仁王に見える。このような条件を総合すれば、相応の地位を有する者が、所領地もしくは家の信仰する寺社へ奉納したものか、守護の神格を持つ刀剣として家宝にしたと考えられる。
作柄は備前の主流である丁字刃を基本に、尖り刃を交えている。鑑定の原則では、尖り刃によって美濃の影響を鑑みるが、尖り刃と美濃に固執すれば鑑定不能に陥る。備前丁字刃の先が尖るのは通常で、備前刀を「尖り刃交じり」と記すため初心者に混乱が生まれる。仮説だが、備前丁字刃は土置きによって尖りの先にわずかな「溜り」が生まれ、美濃の土置きでは尖り刃の線が一定の幅で描かれると考察している。
なお旧来の説明では「匂い溜り」「匂い幅」など記すが、初心者が悩む沸と匂いの違いは、「マルテンサイト粒子の大きさだが、境目の直径は未だ刀剣界で確定していない」としか説明できない。従って今後、沸と匂いを「山吹粒(さんすいりゆう)」と仮称する。入門講座では「山吹色(やまぶきいろ)に輝く」と説明しており、初心者がイメージ想起しやすい造語と思う。
ただし、旧来の沸や匂いといった日本人が生み出した表現は使い続ける。知識不足を景色表現で補うのは、日本人が日本刀を楽しむ点で大いに機能するためである。
この刀剣は、経年研磨によって地刃の厚みがやや減っているが、姿、地肌、刃文すべてに健全無比である。浅い彫りと小づんだ刃によって上品さを醸し出しているものの、身幅や帽子の減りは感じない。「応永備前」一派の平均的な姿である。
精緻な鍛えによって小板目部分は破綻なく、表裏共に丸い杢目が景色に彩りを添えている。まま見られる板目にも芯鉄は現れず、無垢鍛えを疑うような鍛錬技術である。
刃文は、確認できないほど細かな山吹粒によって間を置いた丁字刃が描かれている。また連なりや高低、刃形の変化などによって、隆起する岩場を含む山脈を望むような景色を見せている。荒く強い地肌の部分は乱気流に湧き上がる乱れ雲であろうか。一方で、手元の焼き出しから地の中に淡い映りが朝靄のように漂い、穏やかな風情も醸し出す。彫りのあしらいを含め、筆者の人格を超えた格を漂わせる佳品である。
なおこの刀剣は、座敷差しの洒落た拵えと共に愛刀家を楽しませている。
posted by f-dento at 20:29| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月27日

5月例会

お疲れ様でした。
鑑賞刀の説明は、江戸時代の日本人向け様式で書きます。参加希望の方へメール添付でお送りまします。
「へしきり長谷部と刀剣の見方」については、6月より準備に入ります。
posted by f-dento at 12:20| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年05月22日

プログラム変更

25日は、日本の歴史、表現の歴史差異、刀剣鑑賞に絞って楽しみましょう。
posted by f-dento at 09:47| Comment(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする